中学受験理科の物理分野の解き方と公式活用

中学受験の理科において、物理分野は最も苦手意識を持つ受験生が多い分野です。てこ・ばね・滑車などの力学問題や、電気回路の計算、浮力の問題など、暗記だけでは対応できない思考力が求められます。しかし、物理の問題は出題パターンが限られており、基本的な原理と公式の使い方をマスターすれば、確実に得点できる分野でもあります。本記事では、中学受験の物理分野における主要テーマの解き方と公式の活用法を詳しく解説します
中学受験理科の物理分野の解き方と公式活用|力学・電気・浮力を完全攻略
中学受験の理科において、物理分野は最も苦手意識を持つ受験生が多い分野です。てこ・ばね・滑車などの力学問題や、電気回路の計算、浮力の問題など、暗記だけでは対応できない思考力が求められます。しかし、物理の問題は出題パターンが限られており、基本的な原理と公式の使い方をマスターすれば、確実に得点できる分野でもあります。本記事では、中学受験の物理分野における主要テーマの解き方と公式の活用法を詳しく解説します。
物理分野の全体像と出題傾向を把握する
中学受験の物理分野は「力学」「電気」「光と音」「熱」の4つの大きなカテゴリーに分かれます。中でも力学(てこ・ばね・滑車・浮力)と電気回路は出題頻度が非常に高く、重点的な対策が必要です。
物理分野の特徴は、暗記する知識が他の分野に比べて少ない代わりに、原理の理解と計算力が強く求められる点です。公式を覚えるだけでなく、なぜその公式が成り立つのかを理解することが、応用問題に対応するための鍵となります。
| カテゴリー | 主なテーマ | 出題頻度 | 学習のポイント |
|---|---|---|---|
| 力学 | てこ・ばね・滑車・浮力 | ★★★★★ | 図を描いて力のつり合いを考える |
| 電気 | 豆電球・電流・回路 | ★★★★☆ | 直列・並列の違いを理解する |
| 光と音 | 反射・屈折・音の伝わり方 | ★★★☆☆ | 作図で解く問題を練習する |
| 熱 | ものの温まり方・状態変化 | ★★☆☆☆ | グラフの読み取りを中心に学ぶ |
物理分野は中学受験の理科全体の攻略法の中でも、得点差がつきやすい分野です。早い段階から計画的に取り組むことで、ライバルに大きな差をつけられます。
てこの原理と計算問題を確実に解く方法
てこは物理分野の中で最も出題頻度が高いテーマのひとつです。複雑に見える問題でも、たったひとつの原則を守れば確実に解くことができます。

てこの基本原則
てこの計算で使う原則はシンプルです。「時計回りに回そうとする力」=「反時計回りに回そうとする力」という、力のモーメントのつり合いの式を立てるだけです。
力のモーメント=力の大きさ×支点からの距離
例えば、支点から左に30cmの位置に60gのおもりがあり、支点から右にXcmの位置に40gのおもりを置いてつり合わせる場合:
- 反時計回り:60g × 30cm = 1800
- 時計回り:40g × Xcm = 40X
- つり合いの式:1800 = 40X → X = 45cm
てこの応用問題のコツ
入試では、棒の重さを考慮する問題や、複数のおもりがある問題が出されます。棒の重さがある場合は、棒の重心(中央)に棒の重さがかかっていると考えます。
| 問題パターン | 解き方のポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| 棒の重さなし | モーメントのつり合い | 支点からの距離を正確に |
| 棒の重さあり | 棒の重さは中央にかかる | 重心の位置を間違えない |
| 支点が端にある | 全体のつり合いから考える | 上向きの力も忘れずに |
| ばねばかりがある | ばねばかりの示す値を求める | 力の向きに注意 |
てこの問題は図を描いて考えることが最も重要です。問題文を読んだらまず図を描き、力の矢印を書き込む習慣をつけましょう。
ばねの伸びと力の関係をマスターする
ばねの問題は「フックの法則」という基本法則に基づいて出題されます。この法則を理解すれば、どんなばねの問題でも解くことができます。
フックの法則
ばねの伸び=かかる力÷ばね定数
ばねは加えた力に比例して伸びます。例えば、10gのおもりで2cm伸びるばねは、20gのおもりで4cm伸びます。この比例関係がフックの法則です。
ばね問題で登場する5種類の力
中学受験のばね問題で登場する力は次の5種類だけです。
- 重力(おもりの重さ):常に下向き
- ばねの力(弾性力):伸びた方向と反対向き
- 糸の力(張力):糸が引く方向
- 台の力(垂直抗力):台が物体を押す方向
- 浮力:水中で上向き
これらの力をすべて図に書き出し、つり合いの式を立てることがばね問題の解き方の王道です。
直列つなぎと並列つなぎ
ばねを2本つなげる問題も頻出です。
- 直列つなぎ:全体の伸びは1本の2倍になる(力は同じ、伸びが増える)
- 並列つなぎ:全体の伸びは1本の半分になる(力が分散、伸びが減る)
ばねの学習は理科の計算問題パターンと合わせて演習することで効率的に力をつけられます。
滑車の仕組みと問題の解き方を理解する
滑車の問題は、定滑車と動滑車の2種類の仕組みを理解することが出発点です。この2つの違いを正確に把握できれば、組み合わせ問題にも対応できます。

定滑車の特徴
定滑車は天井や壁に固定されている滑車です。定滑車を使っても力の大きさは変わりませんが、力の向きを変えることができます。例えば、下に引く力で物を上に持ち上げることができます。
- 引く力:おもりの重さと同じ
- 引く距離:おもりが動く距離と同じ
動滑車の特徴
動滑車はおもりと一緒に動く滑車です。動滑車を使うと力は半分になりますが、引く距離は2倍になります。
- 引く力:おもりの重さの半分
- 引く距離:おもりが動く距離の2倍
組み合わせ滑車の解き方
入試では定滑車と動滑車を組み合わせた問題が出題されます。解き方の手順は以下の通りです。
- 動滑車の数を数える
- 動滑車1つにつき、引く力は半分になる
- 定滑車は力の大きさに影響しない(向きだけ変わる)
- 引く距離は、力が半分になった分だけ長くなる
| 滑車の種類 | 引く力 | 引く距離 | 仕事量 |
|---|---|---|---|
| なし | おもりと同じ | おもりと同じ | 同じ |
| 定滑車1つ | おもりと同じ | おもりと同じ | 同じ |
| 動滑車1つ | おもりの1/2 | おもりの2倍 | 同じ |
| 動滑車2つ | おもりの1/4 | おもりの4倍 | 同じ |
仕事量(力×距離)はどの場合も同じになるという「仕事の原理」を理解することが重要です。
浮力の計算を2ステップで攻略する
浮力は多くの受験生が苦手とするテーマですが、解き方の手順を固定すれば確実に解けるようになります。
浮力の基本
浮力=物体が押しのけた水の重さ
水中に沈めた物体には、その物体が押しのけた水の体積と同じ重さの力が上向きにかかります。これが浮力です。
浮力問題の王道2ステップ
ステップ1:力を矢印で図にすべて書く
物体にかかる力をすべて矢印で書き出します。重力(下向き)、浮力(上向き)、糸の力(ある場合)を図に描きます。
ステップ2:つり合いの式を立てる
上向きの力の合計=下向きの力の合計、という式を立てて計算します。
浮力の計算例
100cm³の物体(重さ150g)を水に完全に沈めた場合:
- 浮力=100cm³の水の重さ=100g(水1cm³=1g)
- 物体の重さ:150g
- 糸が引く力:150g − 100g = 50g
浮力の問題は理科の苦手克服法でも重点テーマとして取り上げています。図を描く練習を繰り返して得意分野に変えましょう。
電気回路と豆電球の明るさを3つのルールで解く
電気回路の問題、特に豆電球の明るさに関する問題は、3つのシンプルなルールで解くことができます。

豆電球の明るさの3つのルール
ルール1:直列回路では、どの部分でも電流の大きさは同じ
豆電球が直列につながっている場合、すべての豆電球に同じ大きさの電流が流れます。したがって、同じ豆電球なら同じ明るさで光ります。
ルール2:並列回路では、それぞれの枝に流れる電流の合計が全体の電流と等しい
豆電球が並列につながっている場合、各枝に分かれて電流が流れます。同じ豆電球なら均等に分配されます。
ルール3:豆電球を流れる電流が大きいほど明るく光る
電流の大きさが豆電球の明るさを決めます。電流が大きいほど明るく、小さいほど暗くなります。
直列と並列の違い
| 項目 | 直列回路 | 並列回路 |
|---|---|---|
| 電流 | どこでも同じ | 枝分かれする |
| 電圧 | 分配される | どこでも同じ |
| 1つ切れると | 全部消える | 他は光り続ける |
| 全体の抵抗 | 大きくなる | 小さくなる |
電気回路の問題は、回路図を正確に描き、電流の流れを追うことが大切です。理科の実験問題対策でも回路図の読み取り方を詳しく解説しています。
光と音の基本原理を押さえる
光と音は出題頻度こそ力学ほど高くありませんが、基本的な知識を押さえておけば確実に得点できるテーマです。
光の3つの性質
- 直進:光はまっすぐ進む(影ができる理由)
- 反射:鏡などに当たると跳ね返る(入射角=反射角)
- 屈折:水やガラスを通るときに曲がる
光の反射では「入射角=反射角」という法則が最重要です。鏡に映る像の位置を作図で求める問題が入試で出題されます。
音の性質
音は空気中を約340m/秒の速さで伝わります。音に関する計算問題では、以下の公式を使います。
距離=速さ×時間
例えば、花火の光が見えてから3秒後に音が聞こえた場合、花火までの距離は340×3=1020mと計算できます。
光と音の学習は理科の図表・グラフの読み取り方と組み合わせると理解が深まります。
物理分野の効果的な学習法と得点アップのコツ
物理分野で得点を伸ばすための学習法をまとめます。

学習の3つの柱
1. 図を描く習慣をつける
物理の問題は、図を描かずに頭の中だけで解こうとすると間違えやすくなります。力の矢印、回路図、光の進む道筋など、必ず図を描いて考える習慣をつけましょう。
2. 公式の意味を理解する
公式を丸暗記するのではなく、なぜその公式が成り立つのかを理解することが重要です。理解した上で公式を使えば、初見の問題でも応用できるようになります。
3. 基本問題を繰り返す
難問に挑戦する前に、基本問題を確実に解けるようにしましょう。基本パターンを10回以上繰り返し解くことで、解法が体に染みつきます。
| 学習段階 | やるべきこと | 目安期間 |
|---|---|---|
| 基礎固め | 公式の意味を理解する | 5年生前半 |
| パターン習得 | 基本問題を繰り返し解く | 5年生後半 |
| 応用力養成 | 複合問題・過去問に挑戦 | 6年生前半 |
| 実戦対策 | 志望校の過去問を分析・演習 | 6年生後半 |
物理分野の学習には適切な教材選びも重要です。理科のおすすめ問題集・教材を参考に、自分のレベルに合った教材で学習を進めましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1: 物理が苦手で計算問題が全然解けません。何から始めればよいですか?
まず比例計算の基礎を固めましょう。物理の計算問題の多くは比例関係に基づいています。ばねの伸びと力の関係、てこのモーメントの計算など、すべて比例の考え方が土台になっています。小学校の算数で学ぶ比例を完璧にしてから物理に取り組むと、スムーズに理解できるようになります。
Q2: 滑車と動滑車の組み合わせ問題がよく分かりません。どうやって解けばいいですか?
組み合わせ問題は「動滑車の数だけ力が半分になる」と覚えましょう。動滑車が1つなら力は1/2、2つなら1/4になります。定滑車は力の大きさには影響せず、向きを変えるだけです。問題を解くときは、まず動滑車と定滑車を色分けして区別し、動滑車の数を数えることから始めてください。
Q3: 物理と化学のどちらの対策を優先すべきですか?
出題頻度と配点を考えると、化学分野を先に仕上げ、次に物理に取り組むことをおすすめします。化学は暗記で対応できる部分が多いため短期間で得点を伸ばしやすい一方、物理は理解に時間がかかるため、じっくり取り組む必要があります。
まとめ
中学受験理科の物理分野は、てこ・ばね・滑車・浮力の力学分野と電気回路が最重要テーマです。物理の問題は暗記ではなく原理の理解が鍵であり、「図を描く」「つり合いの式を立てる」「公式の意味を理解する」という3つの基本姿勢を徹底することで着実に得点力が身につきます。基本パターンを繰り返し演習し、計算力と思考力を磨いて物理を得意科目にしていきましょう。
参考リンク:
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