高校の進学実績の見方と正しい比較方法

高校選びで「進学実績」を重視する保護者や受験生は多いですが、その数字を正しく読み解けている人は意外と少ないのが現実です。合格者数の「からくり」を知らずに学校を選ぶと、入学後に「思っていたのと違った」と後悔することになりかねません。
高校の進学実績の見方と正しい比較方法
高校選びで「進学実績」を重視する保護者や受験生は多いですが、その数字を正しく読み解けている人は意外と少ないのが現実です。合格者数の「からくり」を知らずに学校を選ぶと、入学後に「思っていたのと違った」と後悔することになりかねません。
この記事では、高校の進学実績を見る際に注意すべきポイントや、学校間で正しく比較する方法をわかりやすく解説します。志望校選びの判断材料として、ぜひ最後まで読んでみてください。
進学実績とは何か|高校の進学実績が重要な理由
進学実績とは、高校の卒業生がどの大学にどれだけ合格・進学したかを示すデータです。保護者調査によると、高校選びにおいて「進学実績」「交通の便」「教育方針」が全学年で共通して重要視されていることがわかっています。
進学実績が重要視される理由は、高校での3年間の教育が大学受験にどれだけ効果的だったかを示す「成績表」のような役割を果たすからです。しかし、この数字には読み方にコツがあり、表面的な数字だけでは本当の姿が見えません。
2023年時点での日本の大学進学率は男子約61.6%、女子約60.6%となっており、約70%の高校生が初回で大学入試に合格しています。しかし難関大学への競争は依然として激しく、高校の進学指導の質が結果に大きく影響します。
合格者数と進学者数の違い|最も重要なポイント
進学実績を見る際の最大の落とし穴は、「合格者数」と「進学者数」を混同してしまうことです。この違いを理解することが、正しい高校比較の第一歩です。

合格者数のからくり
合格者数は、一人の生徒が複数の大学に合格した場合、すべてカウントされます。つまり、優秀な生徒が早稲田・慶應・明治・青山に合格すれば「4名合格」としてカウントされるのです。
実際のデータ分析では、合格者数と進学者数に大きな差がある学校は、少数の優秀な生徒が実績を「水増し」している可能性があると指摘されています。
進学者数の信頼性
一方、進学者数(入学者数)は実際にその大学に進学した人数を示すため、重複カウントがありません。この数字を確認することで、その高校の「真の実力」がわかります。
| 指標 | 特徴 | 信頼性 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 合格者数 | 延べ人数(重複あり) | 低い | 1人が複数カウントされる |
| 進学者数 | 実人数(重複なし) | 高い | 公開していない学校もある |
| 現役合格者数 | 浪人を含まない | 中程度 | 現役のみの実力がわかる |
| 合格率(対卒業生数) | 割合で比較可能 | 高い | 学校規模に左右されない |
現役合格率と浪人を含む合格率の見方
進学実績を見る際にもう一つ重要なのが、現役合格と浪人合格の区別です。

なぜ現役合格率が重要なのか
難関大学の合格ランキング分析によると、合格者数ではわからない高校の「真の実力」を知るためには、現役進学者数に注目すべきとされています。現役合格率が高い学校は、在学中の教育が効果的であることの証拠です。
浪人率が高い学校の見方
浪人率が高い学校には2つのパターンがあります。
- 難関大学志望者が多い学校 - 第一志望にこだわり、浪人を選択する生徒が多い
- 進学指導が不十分な学校 - 現役で合格する力をつけられていない
どちらのパターンかを見極めるには、現役合格率だけでなく、卒業生全体の進路(浪人・就職・専門学校など)を確認することが大切です。
確認すべきポイント
- 現役合格率:卒業生のうち、現役で大学に合格した割合
- 現役進学率:実際に現役で大学に進学した割合
- 浪人率:卒業後に予備校等に通う生徒の割合
入試方式別の実績を確認する重要性
近年の大学入試では、一般入試以外のルートで進学する生徒が増加しています。入試方式別の実績を確認することで、学校の特色がより明確にわかります。
大学入試の3つの方式
| 入試方式 | 特徴 | 割合の傾向 |
|---|---|---|
| 一般選抜 | 学力試験による選抜 | 減少傾向 |
| 学校推薦型選抜 | 高校の推薦を受けて出願 | 増加傾向 |
| 総合型選抜(旧AO) | 志望理由・活動実績で選抜 | 増加傾向 |
進学実績の正しい見方として、直近3年の推移や方式別の内訳で確認することが推奨されています。推薦入試に強い学校なのか、一般入試で勝負する学校なのかによって、高校生活の過ごし方が大きく変わります。
指定校推薦枠の確認
私立大学への進学を考える場合、指定校推薦の枠数は非常に重要です。推薦枠の多い高校に入学すれば、高校での成績次第で難関大学への進学が可能になります。ただし、推薦枠は年度によって変動するため、過去数年分を確認しましょう。
正しい比較方法|数字のマジックに騙されないコツ
複数の高校を比較する際に、単純な合格者数の比較は意味がありません。以下の方法で正しく比較しましょう。

卒業生数に対する割合で比較する
生徒数が300人の高校と600人の高校では、合格者数の単純比較はできません。必ず卒業生数に対する割合(合格率)で比較しましょう。
計算方法: 合格者数 ÷ 卒業生数 × 100 = 合格率(%)
大学群ごとに比較する
進学校の横比較データでは、以下の大学群ごとに分けて比較する方法が効果的とされています。
| 大学群 | 主な大学 | 難易度 |
|---|---|---|
| 旧帝大・一工 | 東大・京大・阪大・東工大など | 最難関 |
| 国公立20大 | 主要国公立大学20校 | 難関 |
| 早慶上理 | 早稲田・慶應・上智・東京理科 | 難関私立 |
| GMARCH | 学習院・明治・青山・立教・中央・法政 | 中堅上位私立 |
| 日東駒専 | 日大・東洋・駒澤・専修 | 中堅私立 |
3年間の推移を確認する
単年度のデータだけでは判断できません。過去3年間の推移を見ることで、学校の実力が安定しているのか、上昇傾向なのか、下降傾向なのかがわかります。
進学実績の情報源と調べ方
信頼性の高い進学実績データを得るための情報源を紹介します。
公式な情報源
- 各高校の公式ホームページ - 最も正確だが、掲載方法にばらつきがある
- みんなの高校情報 - 全国5,000校以上のデータを集約
- 市進 高校受験情報ナビ - 国立・私立・公立高校の合格者数を掲載
- 大学通信オンライン - 各大学別の高校別合格者数データ
学校説明会での確認ポイント
学校説明会で見るべきポイントとして、進学実績に関しては以下を質問しましょう。
- 合格者数だけでなく進学者数を公開しているか
- 現役・浪人の内訳はどうなっているか
- 入試方式別の実績は公開しているか
- 指定校推薦枠はどの大学からどれだけあるか
偏差値と進学実績の関係を理解する
偏差値が高い高校=進学実績が良い、と単純に考えてしまいがちですが、必ずしもそうとは限りません。
偏差値と合格実績のギャップが生じる理由
- 入学時の偏差値と卒業時の学力は違う - 3年間の教育で伸ばせる学校と、入学時の貯金で実績を出す学校がある
- コース制の影響 - 特進コースの実績だけが目立ち、一般コースの実績が隠れがち
- 推薦入試の活用度 - 推薦に力を入れている学校は偏差値以上の実績を出すことがある
偏差値と倍率から見る志望校の賢い選び方も参考にしながら、偏差値だけにとらわれない学校選びを心がけましょう。
進学実績以外にチェックすべき5つのポイント
進学実績はあくまで高校選びの一つの指標にすぎません。以下の要素も含めて総合的に判断しましょう。
- 教育方針とカリキュラム - 文理選択の時期、補習体制、課外活動の充実度
- 通学時間と環境 - 通学時間と学校の立地で選ぶポイントも重要な判断基準
- 学校の雰囲気と校風 - 校則の厳しさ、生徒の自主性、部活動の活発さ
- 進路指導の充実度 - 個別面談の回数、予備校との連携、卒業生のサポート
- 費用面 - 特待生制度と入試優遇の活用法を知っておくと選択肢が広がる
まとめ|進学実績の見方を知って後悔しない高校選びを
高校の進学実績を正しく読み解くためには、以下のポイントを押さえましょう。
- 合格者数ではなく進学者数で学校の実力を判断する
- 現役合格率を確認し、在学中の教育の効果を見る
- 入試方式別の実績で学校の特色を理解する
- 卒業生数に対する割合で学校間を公平に比較する
- 3年間の推移で実績の安定性を確認する
数字の裏にある「からくり」を知った上で進学実績を比較すれば、お子さんに本当に合った高校を選ぶことができます。高校受験の志望校選びと受験戦略ガイドもあわせて読み、後悔のない高校選びにつなげてください。
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