中学受験算数の場合の数と確率の解き方

中学受験の算数で「場合の数」は、多くの受験生が苦手とする単元の一つです。数え漏れや重複カウントが起こりやすく、「答えは合っているはずなのに違う」という経験をしたお子さんも多いのではないでしょうか。
中学受験算数の場合の数と確率の解き方
中学受験の算数で「場合の数」は、多くの受験生が苦手とする単元の一つです。数え漏れや重複カウントが起こりやすく、「答えは合っているはずなのに違う」という経験をしたお子さんも多いのではないでしょうか。
しかし、場合の数は正しい解法のパターンを身につければ、確実に得点できる分野です。この記事では、樹形図の書き方から順列・組み合わせの使い分けまで、場合の数を完全攻略する方法を解説します。
場合の数とは?基本的な考え方
場合の数とは、「ある条件を満たすものが全部で何通りあるか」を求める問題です。中学受験では計算で求める方法と、書き出して数える方法の両方が出題されます。

場合の数を解く3つの道具
かるび勉強部屋で紹介されているように、場合の数を解くには3つの道具があります。
| 道具 | 用途 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 樹形図 | 可能性を全て書き出す | 数が少ないとき、条件が複雑なとき |
| 順列(並べ方) | 順序を考えて並べる数を計算 | カード並べ、人の並び方など |
| 組み合わせ(選び方) | 順序を考えずに選ぶ数を計算 | チーム分け、代表選びなど |
「和の法則」と「積の法則」
場合の数の計算では、2つの重要な法則があります。
和の法則:「AまたはB」のパターン → Aの場合の数 + Bの場合の数
積の法則:「AかつB」のパターン → Aの場合の数 × Bの場合の数
例えば、サイコロを2回振って合計が7になる組み合わせを求めるとき、1回目と2回目の出目は独立しているため積の法則が関係しますが、(1,6)(2,5)(3,4)(4,3)(5,2)(6,1)と書き出すと6通りとわかります。
樹形図の書き方とコツ
樹形図は場合の数の最も基本的な道具です。樹形図の書き方のコツを押さえれば、数え漏れや重複を防げます。
樹形図の基本ルール
- 順番を決めて書く:必ず同じ順序で分岐を書く
- 条件をチェックしながら書く:条件に合わないものは途中で止める
- 漏れなく重複なく:全てのパターンを網羅する
樹形図が有効な問題パターン
- 3〜4個のものの並べ方
- 条件付きの並べ方(隣り合う・隣り合わないなど)
- 道順の問題(格子状の道を通るパターン)
樹形図の書き方の具体例
例えば、A、B、C、Dの4人から3人を選んで一列に並べる場合:
1回目の選択:A、B、C、Dの4通り
2回目の選択:残り3人から1人で3通り
3回目の選択:残り2人から1人で2通り
樹形図で全て書き出すと、4×3×2=24通りとなります。
算数の頻出単元と対策法も参考にしてください。
順列(並べ方)の計算方法
順列は「順序を考えて並べる」場合の数を求める計算方法です。
順列の基本公式
n個のものからr個を選んで並べる順列は:
nPr = n × (n-1) × (n-2) × ... × (n-r+1)
| 問題 | 計算 | 答え |
|---|---|---|
| 5人から3人を選んで並べる | 5×4×3 | 60通り |
| 4文字から2文字を選んで並べる | 4×3 | 12通り |
| 6人を一列に並べる | 6×5×4×3×2×1 | 720通り |
特殊な順列パターン
円順列:円形に並べる場合は、(n-1)! で計算します。4人が円卓に座る場合は3×2×1=6通りです。
同じものを含む順列:同じ文字が複数ある場合は、同じもの同士の入れ替えを除きます。例えば「ABBA」の4文字の並べ方は、4!÷(2!×2!)=6通りです。
条件付き順列:「AとBが隣り合う」などの条件がある場合は、AとBをひとまとめにして計算します。
組み合わせ(選び方)の計算方法
組み合わせは「順序を考えずに選ぶ」場合の数です。順列との違いを正確に理解することが重要です。
順列と組み合わせの違い
京進の解説でも強調されているように、順列と組み合わせの見分けが場合の数攻略のカギです。
| 順列(並べ方) | 組み合わせ(選び方) | |
|---|---|---|
| 順序 | 考える | 考えない |
| ABとBA | 別のもの | 同じもの |
| 計算 | nPr | nCr = nPr ÷ r! |
| 例 | 委員長・副委員長を選ぶ | 委員2人を選ぶ |
組み合わせの計算例
5人から3人の委員を選ぶ場合:
- 順列:5×4×3 = 60通り
- 3人の並び替え:3×2×1 = 6通り
- 組み合わせ:60÷6 = 10通り
| 問題 | 計算 | 答え |
|---|---|---|
| 6人から2人を選ぶ | (6×5)÷(2×1) | 15通り |
| 8人から3人を選ぶ | (8×7×6)÷(3×2×1) | 56通り |
| 10人から4人を選ぶ | (10×9×8×7)÷(4×3×2×1) | 210通り |
入試頻出の問題パターンと解法
実際の入試で出題される場合の数の問題は、いくつかの定番パターンに分類できます。

パターン1:カードの並べ方
0〜9のカードから3枚選んで3桁の整数を作る問題は最頻出です。
ポイント:
- 百の位に0は使えない
- 偶数を作る条件、3の倍数を作る条件など
パターン2:色の塗り分け
3色以上の色で隣り合う領域を異なる色に塗る問題です。
ポイント:
- 隣接する領域の関係を整理する
- 色の数と領域の数の関係を考える
パターン3:道順(最短経路)
格子状の道で、AからBへ最短距離で行く方法を求めます。
ポイント:
- 「右にm回、上にn回」の並べ替え問題として解く
- 通れない交差点がある場合は、その分を引く
パターン4:サイコロの問題
サイコロを振って特定の条件を満たす目の出方を求めます。
ポイント:
- 2個のサイコロの目の出方は全部で36通り
- 表を使って整理すると数え漏れが防げる
中学受験算数の文章題の解き方も、場合の数の文章題対策に役立ちます。
場合の数の苦手を克服する勉強法
場合の数が苦手なお子さんには、段階的なアプローチが効果的です。

ステップ1:少ない数で全て書き出す
まず3〜4個の要素で、樹形図を使って全パターンを書き出す練習をします。この段階では計算を使わず、漏れなく重複なく数える感覚を身につけることが目的です。
ステップ2:パターンを認識する
場合の数の解き方の例題を参考に、問題がどのパターンに該当するかを見分ける練習をしましょう。
- 「並べる」→ 順列
- 「選ぶ」→ 組み合わせ
- 「条件付き」→ 樹形図で書き出し
ステップ3:計算と書き出しの使い分け
数が少ない場合は書き出し、数が多い場合は計算で求める判断力をつけます。入試では「最も効率的な解法を選ぶ」ことが重要です。
ステップ4:過去問で実戦練習
実際の入試問題で、制限時間内に正確に解く練習をします。場合の数は配点が高い傾向があるため、確実に得点したい単元です。
算数の偏差値アップ勉強法も参考にしてください。
よくあるミスとその対策
場合の数で陥りやすいミスと、その具体的な対策を紹介します。
ミス1:数え漏れ
原因:樹形図を書く順番が統一されていない
対策:必ず「小さい順」「アルファベット順」など一定のルールで書く
ミス2:重複カウント
原因:順列と組み合わせを混同している
対策:「順序が関係あるか」を問題文から正確に読み取る
ミス3:条件の見落とし
原因:問題文の条件を最後まで読んでいない
対策:条件に線を引いて確認する習慣をつける
ミス4:計算ミス
原因:掛け算・割り算の途中で間違える
対策:少ない数で書き出して検算する
計算力を鍛える方法も合わせて参考にしてください。
まとめ:場合の数は「道具」と「パターン」で攻略
場合の数は正しいアプローチを身につければ、確実に得点できる分野です。攻略のポイントは以下の通りです。
- 3つの道具(樹形図・順列・組み合わせ)を使い分ける
- 入試頻出パターンを覚えて問題を分類する力をつける
- 書き出しと計算を状況に応じて使い分ける
- 数え漏れ・重複を防ぐルールを徹底する
- 実戦練習で時間内に正確に解く力をつける
コツコツと練習を重ねれば、場合の数は得点源に変えることができます。算数の図形問題の攻略法など他の単元の対策も進めて、算数全体の得点力を上げましょう。
よくある質問(FAQ)
Q: 場合の数は書き出しと計算、どちらで解くべきですか?
A: 要素が5つ以下なら書き出し、6つ以上なら計算が効率的です。ただし入試では、計算で求めた後に少ない数で検算するのが確実です。
Q: 順列と組み合わせの見分け方を教えてください。
A: 「AさんとBさんを選ぶ」のと「BさんとAさんを選ぶ」のが同じ結果なら組み合わせ、違う結果なら順列です。委員長と副委員長のように役割が異なる場合は順列になります。
Q: 場合の数の勉強はいつから始めるべきですか?
A: 小学4年生後半〜5年生前半に基礎を学び始めるのが一般的です。ただし、掛け算・割り算が確実にできることが前提です。
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