GIGAスクール構想・ICT教育と受験の関係

2019年に始まったGIGAスクール構想により、全国の小中学生に1人1台の端末が配備され、日本の教育環境は大きく変わりました。そして2025年度からは、大学入学共通テストに「情報Ⅰ」が新設され、ICT教育がついに受験制度と直結する時代が到来しました。本記事では、GIGAスクール構想とICT教育が受験にどのような影響を与えているのか、最新の動向と具体的な対策を詳しく解説します。
GIGAスクール構想・ICT教育と受験の関係|2025年入試改革の最新動向と対策
2019年に始まったGIGAスクール構想により、全国の小中学生に1人1台の端末が配備され、日本の教育環境は大きく変わりました。そして2025年度からは、大学入学共通テストに「情報Ⅰ」が新設され、ICT教育がついに受験制度と直結する時代が到来しました。本記事では、GIGAスクール構想とICT教育が受験にどのような影響を与えているのか、最新の動向と具体的な対策を詳しく解説します。
GIGAスクール構想とは?受験への影響を理解する第一歩
GIGAスクール構想(Global and Innovation Gateway for All)は、文部科学省が2019年12月に打ち出した教育改革政策です。「1人1台端末」と「高速大容量の通信ネットワーク」を整備することで、公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で実現することを目指しています。
当初は2023年度までに整備を完了する予定でしたが、新型コロナウイルスの影響もあり、2021年3月末には小中学校での端末整備がほぼ完了しました。文部科学省のGIGAスクール構想ページによれば、全国の約96%の学校で端末の整備が完了しています。
GIGAスクール構想の主な施策
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 端末整備 | 児童・生徒1人につき1台のPC・タブレット端末 |
| ネットワーク整備 | 高速大容量通信ネットワーク(無線LAN等) |
| クラウド活用 | 学習データの蓄積・活用・個別最適化 |
| 教員研修 | ICT活用指導力の向上 |
| 第2期(2024〜) | 端末更新・生成AI活用・教育DXの加速 |
この構想は単なる「端末配備」に留まらず、日本全体の教育システムを変革する大きなプロジェクトです。そして、その影響は今や受験制度にも及んでいます。
2025年大学入試共通テスト「情報Ⅰ」新設の衝撃
GIGAスクール構想の最も大きな受験への影響は、2025年度(令和7年度)大学入学共通テストへの「情報Ⅰ」新設です。これにより、ICT教育は「学校で学ぶ内容」から「受験で問われる内容」へと変わりました。

「情報Ⅰ」の試験概要
ベネッセ教育情報の分析によると、2025年度共通テスト「情報Ⅰ」の概要は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 60分 |
| 配点 | 100点満点 |
| 出題形式 | 全問マークシート方式 |
| 大問数 | 4問構成 |
| 実施年度 | 2025年1月(初実施) |
4つの出題分野
情報Ⅰの出題範囲は、高校の「情報Ⅰ」の授業内容を反映した4分野から構成されています。
- 情報社会の問題解決 - 情報倫理、著作権、個人情報保護など
- コミュニケーションと情報デザイン - デザイン原則、プレゼンテーション技術
- コンピュータとプログラミング - アルゴリズム、DNCL(共通テスト手順記述標準言語)
- 情報通信ネットワークとデータの活用 - ネットワーク、データ分析・統計
特に注目すべきは第3問・第4問で出題される「プログラミング」分野です。実際にコードを書く必要はありませんが、プログラムの論理的な読解力・理解力が問われます。
ICT教育が変える受験勉強のあり方
GIGAスクール構想による1人1台端末の普及は、受験勉強のスタイルそのものを変化させています。アフターGIGAの現状分析によると、端末を活用した個別最適化学習が各地の学校で実践されています。
デジタル学習ツールの受験活用
現在の中高生が受験勉強に活用しているICTツールには以下があります。
- スタディサプリ・映像授業: いつでもどこでも苦手単元を復習
- AI搭載問題集アプリ: 習熟度に応じて出題難易度が自動調整
- オンライン模試・学習管理: 弱点分析とカリキュラム提案
- デジタル辞書・百科事典: 6教科対応のオンラインリソース活用
- 共同編集ツール: グループ学習・情報共有の効率化
1人1台端末による個別最適化学習の効果
従来の一斉授業では対応しきれなかった「個人差」を、ICTが補完するようになりました。たとえば、理解が速い生徒は発展問題に進み、苦手がある生徒は基礎を繰り返し学習できます。この個別最適化が、受験における基礎固めと応用力育成の両立を可能にしています。
高校受験・中学受験への影響と対策
共通テストへの影響は大学受験だけに留まりません。スタディサプリ進路の解説では、情報教育の変化が高校受験・中学受験にも波及していることが指摘されています。
高校受験へのICT教育の影響
高校受験においても、思考力・判断力・表現力を重視する「新型入試」の採用が増えています。これらの入試では、ICT教育で培われるスキル(情報処理能力・論理的思考・データ分析)が問われることがあります。
具体的には:
- 公立高校入試でのグラフ・表・データ読み取り問題の増加
- 私立高校でのプレゼンテーション型・探究型入試の導入
- 総合型選抜での情報活用能力のアピール機会の拡大
中学受験でのICT・プログラミング問題の出題
一部の私立中学校では、すでにプログラミング思考やICT活用能力を問う問題が出題されています。プログラミング・STEM教育と受験の関係と対策についても、あわせてご確認ください。
受験生・保護者が今すぐ取り組むべきICT対策
共通テスト「情報Ⅰ」の具体的な対策
Z会の共通テスト情報対策ページによると、効果的な学習ステップは以下の通りです。

ステップ1:授業内容の確実な定着
- 高校の「情報Ⅰ」の授業を大切にする
- 定期テストで基礎知識を確実に定着させる
- 授業のノートを丁寧にまとめておく
ステップ2:プログラミング思考の習得
- DNCL(共通テスト手順記述標準言語)に慣れる
- 変数・条件分岐・繰り返し処理の概念を理解する
- 過去問・試作問題を解いて出題形式に慣れる
ステップ3:データ分析スキルの養成
- 統計の基礎(平均・中央値・標準偏差)を理解する
- グラフや表の読み取り・分析練習をする
- スプレッドシートなどを活用したデータ処理体験
ステップ4:情報社会の知識習得
- 情報倫理・個人情報保護の法律・制度を学ぶ
- 著作権・肖像権などの知的財産権を理解する
- SNSリテラシー・ネットセキュリティの知識を深める
大学別「情報Ⅰ」配点・活用状況
初年度(2025年)は、大学によって「情報Ⅰ」の扱いが異なりました。
| 大学の種別 | 「情報Ⅰ」の扱い |
|---|---|
| 国公立大学(多くの場合) | 必須または選択科目として採用 |
| 私立大学(理工系) | 共通テスト利用で加点対象 |
| 私立大学(文系) | 独自判断により採用・不採用が分かれる |
| 医学部系 | 多くは採用・比較的高い配点 |
受験する大学の募集要項を必ず確認し、「情報Ⅰ」の配点と必要性を把握しておくことが重要です。
今後のICT教育と受験制度の展望
2024年に閣議決定された「骨太の方針2024」では、GIGAスクール構想の継続と教育DXのさらなる加速が明記されました。特に注目すべき点は以下の通りです。

生成AIの教育活用
2023年以降、ChatGPTをはじめとする生成AIが急速に普及し、教育現場での活用も始まっています。文部科学省は2023年7月に「生成AIの利用に関するガイドライン」を公表し、適切な活用を推進しています。
今後は、AIリテラシー(AIとの正しい付き合い方)も受験で問われる時代が来る可能性があります。
第2期GIGAスクール構想(2024年〜)
第2期では、端末の更新(5年ごとの更新サイクル)に加え、以下が重点施策として掲げられています。
- クラウド環境の高度化
- 生成AIの教育活用推進
- 教員のICT活用指導力の向上
- 高校・特別支援学校への展開強化
これらの施策が進むにつれて、ICT教育と受験の連動はさらに強まると予想されます。
最新トレンドと制度変更の動向を常に確認
入試制度は毎年変化しています。高校受験の最新トレンドと制度変更の動向や教育改革が受験に与える影響と保護者の対応も定期的にチェックして、最新の情報を把握しておきましょう。
まとめ:ICT教育の波に乗り遅れないために
GIGAスクール構想とICT教育の進展は、受験制度に以下の変化をもたらしています。
- 2025年から共通テストに「情報Ⅰ」が必修化 - ICTスキルが直接受験に影響
- 個別最適化学習ツールの普及 - デジタルを活用した効率的な受験勉強が可能に
- 思考力・判断力重視の入試増加 - ICT教育で培われる論理的思考力が評価される
- プログラミング教育の必修化 - 中学でも必修となり、受験への影響が拡大
ICT教育の波に乗り遅れず、早めの対策を始めることが、これからの受験成功の鍵となります。学校の授業を大切にしながら、デジタルツールを積極的に活用した学習スタイルを確立しましょう。
英語4技能導入の最新動向と対策や思考力・判断力を問う新型入試の特徴と対策法もあわせて読んで、入試改革全体の流れを把握しておくことをおすすめします。
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